バラエティー番組、ドラマ作品、舞台演劇、各種イベント…当社が持道具類をレンタルする現場は多種多様ですが、ここでは基本的かつもっとも担当することの多い“現代もの”のテレビドラマを例にとってみましょう。
01.
作品の理解
持道具類を貸し出す作品の台本を熟読します。
台本にはどのような登場人物がいるのか?
人数はどれくらいか?
さらにそれらの登場人物はどのようなキャラクターたちなのか?
…生い立ち、家族構成、趣味、職業、生活レベルなど…
を担当者なりの感性で読み取ります。
02.
美術打ち合わせ(美打ち)
その後、作品のプロデューサー、演出家、助監督などの演出スタッフ、セットデザイナー、衣裳さん、ヘアメイクさんなどの美術スタッフを交えた「美術打ち合わせ(美打ち)」に出席し、演出家の意図や希望などを確認しながら、自分自身の見解やプランニングを発言し細部を煮詰めていきます。
そして後日行なわれる「衣裳合わせ」に向けて必要な持道具類(先に挙げた装身具やカバン類、履物類など)を用意していきます。
03.
衣裳合わせ(フィッティング)
「衣裳合わせ」では演出家に加えて役を演じる俳優さんも出席し、役柄に合わせて衣裳さんが事前に用意した衣裳を着てもらい、そこで自分が用意した持道具類をコーディネイトして演出家と俳優さんに見てもらいます。
これが「フィッティング」という作業です。
この段階で、その俳優さんが演じる役柄のイメージが大体決定するといってもいいでしょう。
ですから、担当者はここで登場人物のキャラクター性を熟知し、なおかつ演じる俳優さんの好みやパーソナルデータ(頭サイズや靴サイズ、さらには指輪の号数、度の入ったレンズ付きのメガネが必要な場合、俳優さんの視力など)を確認しておく必要があります。
04.
こんなものも持道具の仕事です!
俳優さんの身に着ける持道具類だけでなく、ロケ現場やスタジオのセットの“飾り物”として必要なものも同時に用意します。
例えば家庭内であれば玄関周りにある家族の靴類、スリッパ、傘、子供部屋の学用品やおもちゃ、帽子類など…。
“飾り物”として必要なものはセットデザイナーさんや装飾担当のスタッフさんと相談しながら決めていきます。
以上が持道具類を準備するもっともオーソドックスな流れですが、これが「警察」「病院」「検事」「弁護士」などの“職業もの”になるとそれぞれの職業の所作や決まりごとなどを事前にリサーチしておく必要があります。
また戦時中などの“時代もの”では持道具類に関する知識に加えて、その時代の歴史的事象や背景、生活水準なども自分自身が知っておかなければなりません。
そのあたりが俳優さんのスタイルをコーディネイトすることのみを追求する「スタイリストさん」とは異なる点であり、『持道具』というセクションの醍醐味でもあります。